他社の例も踏まえて、大宮社長は「さまざまなリスクを織り込んだ上で、初納入時期を1~2年延ばした」とし、延期は今回を最後にする決意を示した。しかし、2009年に続く2度目の延期が商談に与える影響は「小さくない」(アナリスト)。70~90席程度の座席数を計画するMRJの実機を披露する時期が、さらに遅れるからだ。
三菱航空機は08年11月に米国、11年5月にオランダで販売会社の営業活動を始めるとともに、世界各地の国際航空ショーに出展し、売り込みを強化。しかし、MRJの受注数は合計130機にとどまり、採算ラインとされる350~400機に遠く及ばない。「実際の飛行を見てから購入を判断する企業が多い」(三菱重工幹部)ため、成約までにはなかなか至らない。
実際、11年6月に香港の航空機リース会社から受注した5機を最後に、ほぼ1年経っても新たな顧客を獲得していない。
客席数50~100席の小型ジェット機は、中大型機よりも運航効率が格段に高いことから世界的に需要が伸びており、今後20年間で約5000機が新たに就航すると予測されている。
「飛び立てば挽回」
ただ、現状はカナダのボンバルディアとブラジルのエンブラエルによる寡占状態が続く。MRJのもたつきはライバルに余裕を与え、ボンバルディアは13年末の初納入を予定する新型機の「Cシリーズ」だけで133機を受注。新興勢力も台頭しつつあり、ロシアのスホイは「SSJ」で350機、官民一体となった中国商用飛機(COMAC)の「ARJ21」は300機の契約を得るなど、MRJは水をあけられている。