劣勢の挽回に向けた戦略は、ライバルを上回る機体性能が軸足となる。最新のエンジンを搭載するMRJは軽くて丈夫な炭素繊維複合材も採用し、ライバル機より20%以上も燃費性能が高い。大宮社長は「燃費の優位性は揺るがず、実際の飛行が始まれば受注は引く手あまたになる」と自信を見せ、運用コストの安さや環境性能をアピールして、対抗する考えだ。
グループ総力、より早い実飛行を
ただ、開発が遅れるほど優位性を失う恐れも高まる。エンブラエルは最新型エンジンを採用した新型機を開発し、燃費向上に取り組む方針を示しており、性能差を縮めようとするライバルの足音は大きくなっている。
三菱航空機も危機感をにじませる。最終的な組み立てを手がける三菱重工の小牧南工場(愛知県豊山町)の設備や人員の増強などを実施。「納入時期の前倒しに注力し、量産段階での生産拡大も検討する」という。計画の延期を繰り返せば信頼を損ない、潜在顧客を失うのは避けられないだけに、機体開発の技術確立や信頼性の評価をより早く、しかも確実に達成するためグループの総力を注ぐ構えだ。
プロペラ機の「YS-11」以来、約40年ぶりの国産旅客機となるMRJは、政府が開発費の3分の1を助成する事実上の国家プロジェクトで、日本の航空産業全体の悲願ともいえる事業。ライバルとの「空中戦」に競り勝ち、上昇急流に乗せるためには、1日も早い機体の完成と実飛行が不可欠の条件となる。(今井裕治)