穀物消費の主役が先進国から中国をはじめとする新興国にシフトする中で、「生産地の集荷網と消費国の販売網の両方を押さえることが生き残りの条件」(丸紅の若林哲執行役員)となってきたわけだ。欧米の穀物メジャーといえど、世界的な構造変化への対応を迫られ、業界再編のうねりはすでに起きていた。
口火を切ったのは、スイスの穀物商社グレンコアだ。今年3月に約5100億円を投じてカナダの穀物商社バイテラを買収することで合意、業界を驚かせた。仏メジャー、ルイ・ドレフュス(非上場)も創業以来初めてとなる社債を発行して買収資金確保に動くなど、世界再編の足音は確実に高まっていた。
こうした状況下でのガビロン買収では、日本の他の商社やグレンコアなども興味を示していたとされる。それでも丸紅が手中に収めたのは、中国の販売網を持っていたためだ。
大豆輸入、世界の6割
丸紅は2008年、中国の食糧備蓄管理を担う政府系シノグレイングループをはじめ中国企業と相次ぎ提携、中国向け輸出量を1100万トンにまで拡大。これで世界の穀物貿易量を2200万トンに押し上げる原動力になった。
実際、中国の13億人の胃袋を賄う家畜用飼料向けなどの穀物需要は大きく伸びている。昨年の大豆輸入量は約5500万トンと、世界貿易の6割を占めるまでに成長。昨年から始めたトウモロコシ輸入量も早晩、数千万トン規模に拡大し、世界最大の日本の輸入量(1600万トン)を抜くのは時間の問題といえる。
中国市場を押さえることが、穀物商社の成功の鍵を握っているともいえる状況だ。