「穀物取引」勢力図が変わる… 丸紅、ガビロン買収の決め手は中国販売網 (3/3ページ)

2012.5.31 05:00

 安定調達へ ライバルとの協調も必要

 成長する中国の穀物市場をめぐっては、他の大手商社も拡大戦略に打って出る。三菱商事は中国の政府系穀物商社コフコ向けに大豆調達契約を結び、ブラジルの集荷網の買収を進める。伊藤忠商事も米ブンゲと米西海岸の輸出ターミナルを稼働。中堅穀物商社の買収を検討する大手商社もあるなど、日本勢は今のところ先手を取っている。

 ただ、中国企業も世界の穀物買い取りに動き始め、丸紅もその“影”を経験している。

 2年前に丸紅がブラジル人の辣腕(らつわん)穀物トレーダーを採用した直後のこと。丸紅との正式契約を知らない中国の穀物会社が丸紅を上回る報酬でそのトレーダー引き抜きに動き、その情報がサンパウロの穀物市場に流れたのだ。

 仮に、中国の巨大穀物企業が米国やブラジルの集荷網を手中にすれば、「日本への安定調達すら危うくなる」(岡田常務)との思いがガビロン買収の背中を押したことは間違いない。

 米国にとって穀物は戦略輸出物資だけに、中国企業がガビロン買収に表だって参戦した形跡はないが、産地への進出を狙っていることは間違いない。

 丸紅をはじめとした日本の商社は日本への穀物安定供給のためにも、欧米メジャーだけでなく中国企業という新たなライバルとも協調していく必要がありそうだ。(上原すみ子)