軽自動車より小さい1~2人乗りの「超小型車」が、年度内にもナンバーを付けて公道を走れる可能性が出てきた。国土交通省は「買い物弱者」とされる高齢者対策や、観光地の「足」としての利用を想定し、新たな自動車市場の誕生に期待を寄せる。これに対し、メーカーが開発に本腰を入れる気配はなく、民間側のビジネスは盛り上がりに欠ける。官主導で普及を目指す超小型車には、本当に必要とする人がどのくらいいるかという市場性の視点が抜け落ちていて、軽自動車を凌ぐ市場に育てるにはハードルも高い。
高齢者に優しく
「静かで乗り心地がいい。低炭素型のまちづくり実現に普及が進んでくれれば」。国交省が18日開いた国内5社が開発中の超小型車のイベント。父親譲りの“省エネルック”をまとった羽田雄一郎国交相が試乗し、宣伝役を買って出た。
超小型車デビューのシナリオは、いわば国と地方自治体の合作といえる。始まりは昨年2月に開かれた全国知事会のシンポジウム。「高齢者に優しい自動車」というコンセプトを掲げた「2人乗り仕様の電気自動車(EV)」の概要が提案された。近距離利用を前提にしていること、高速道路を利用しないこと、全長は2.5メートル程度、軽自動車より小さいことなど提案は細部にわたり、新しいジャンルのクルマをつくろうという役所の意欲がにじむ。
(次ページ)メーカー各社の反応はあまりにも冷めていた