マツダが業績低迷に苦しんでいるのは、輸出比率が高いためだ。海外展開が進むホンダの輸出比率が3割弱であるのに対し、マツダは8割弱。長く米フォード・モーター傘下だったため、独自の海外展開が遅れていることは否めず、円高が他の自動車メーカーにも増して重くのしかかる。
当然、マツダも業績回復のカギは海外の生産拠点増強と理解しており、メキシコ新工場、タイ工場の増強、ロシアでの新工場などのプロジェクトが進行中。だが、いずれも操業開始は26年中で、効果を発揮するのは27年以降になる。最近の山内社長の口癖は「メキシコ工場までは我慢」だ。
代名詞を他社に供給
国内市場でもヒット車に恵まれず、シェアは5%割れが定着している。だが、ロータリーエンジンを生み出した技術開発力は健在で、内燃機関の改善によってハイブリッド車(HV)並みの低燃費を目指す「スカイアクティブ」技術によって、マツダは巻き返しを狙っている。
実際、スカイアクティブを搭載し、2月に発売したSUV(スポーツ用多目的車)「CX-5」は2カ月で1万4千台の受注を獲得。日本での年間販売計画1万2千台を短期間で上回り、スカイアクティブの高い競争力を見せつけた。
だが、存在感を示すために不可欠なこの技術を、マツダは切り売りする戦略を進めている。