これに対し、民間銀行側は「非常に大きな脅威」(全国銀行協会の佐藤康博会長)と警戒する。11年度末のゆうちょ銀の貯金残高は約175兆円で、メガバンク最大手の三菱東京UFJ銀行の預金量約106兆円を上回る。ましてや地方銀行の預金量は数兆円程度にすぎず、「ゆうちょ銀とは勝負にならない」(外資系アナリスト)。
「事実上の政府保証」対抗戦略が急務
さらに、政府が将来も日本郵政株の3分の1超を保有し「いざとなれば国が守ってくれる『事実上の政府保証』がある」との安心感から、ゆうちょ銀が有利になる可能性もあり、「競争条件がフェアではない」(農協関係者)との不満も募る。
こうした懸念に対応するため、日本郵政は大手行が力を入れていない高齢者や自営業者、女性向けの商品をベースに展開する方針を掲げている。ただ、高齢者などのローン需要は大きくない。結果的に、ゆうちょ銀は需要の大きい20代後半から30代を取り込む必要性に迫られるとの見方は強い。
そうなれば「銀行間の低金利競争を激化させ、地域金融機関の経営に影響が出かねない」(信金中金地域・中小企業研究所の品田雄志主任研究員)。
ゆうちょ銀のローンの審査能力を疑問視する向きもある中、参入に向けた準備は着々と進んでおり、民間の金融機関はゆうちょ銀の「脅威」に対抗する戦略を、早急に用意する必要に迫られそうだ。(山口暢彦)