取引所は取引量に応じた手数料が収入源のため、いかに多くの注文を獲得できるか、特に総運用資産が約2兆ドル(約156兆円)に上るといわれる世界のヘッジファンドを呼び込めるかが業績を大きく左右する。
そのヘッジファンドなどで主流となっているのが、相場の値動きを解析し、ミリ秒(1000分の1秒)単位以下の高速の自動発注による頻繁な売買で利ざやを積み上げる「ハイ・フリークエンシー・トレーディング(HFT)」と呼ばれる取引手法だ。
HFTは今や欧米の主要取引所では約6割、東証でも約4割を占めるなど、市場での存在感が高まる一方で、これが世界の証券取引システムに「ミリ秒の高速化競争」を迫っている。
増えない売買代金
東証が10年に導入したアローヘッドは、売買が成立するまで約3秒かかっていた従来システムに対し、1000分の5秒(5ミリ秒)と約600倍の高速取引を実現。当時は世界のミリ秒競争をリードし、東京株式市場に投資マネーを呼び込む起爆剤と期待された。