中国・内モンゴル自治区バヤンオボのレアアース採掘現場【拡大】
希少金属のレアアース(希土類)を使わなかったり、産地が中国に偏る特定のレアアースを必要としないモーター用の磁石を、電機各社が相次いで開発している。主要産出国の中国が資源保護を理由にレアアースの輸出を規制していることで価格が高騰し、調達面の懸念が解消できない。このため「脱中国依存」を技術面で後押しし、コスト圧縮にもつなげたい考えだ。
これまで電車やハイブリッド自動車の駆動用モーターなどには、中国で大半が生産されているジスプロシウムというレアアース使った「ネオジム磁石」が欠かせなかったが、東芝は米国などで採取されるレアアースのサマリウムとコバルトを使った磁石を改良。鉄の配合比率を高めた上で独自の熱処理を行うことで、ジスプロシウムを使わずに同等以上の磁力を持つ強力な磁石の開発に成功した。2013年3月までの発売を目指す。
レアアースを使わない産業用モーターを開発したのが、日立製作所だ。通常はモーターを回転させる心臓部の磁石にネオジウムやジスプロシウムといったレアアースを使っているが、急速冷却で凝固させたアモルファス金属で代替。コストを抑えながら従来と同等の性能を実現したという。工場のポンプやファンなどに使う中容量モーターとして14年度の製品化を目指す。