13年3月期の業績予想の最終赤字額を300億円から2500億円に下方修正すると株価は急落、提携契約当時の3分の1まで低下した。
「そちらのお望みの額で結構です」
いま出資すれば鴻海に損失を被らせてしまう。結局、シャープが譲歩する形で、鴻海の1株当たりの買い取り価格を時価を基準にした価格にする方向で交渉中だ。ただ、出資額の減少はシャープにとって想定外。主力取引銀行の支援がなければ、事実上再建は不可能なほど資金繰りは悪化している。
シャープはこれまで、いくつもの危機を乗り越えてきた。かつての最大の危機は、戦後の混乱期におけるラジオ事業の低迷。1949年、連合国軍総司令部(GHQ)が実施した緊縮財政措置が不況を招き、ラジオ生産台数は48年の80万台から2年後に30万台を割った。
かつて一度だけ人員削減に踏み切ったのも、このときだった。金融機関から追加融資の前提条件として求められた。
約600人の従業員のうち3割超の210人が会社を去った。当時社長で創業者の早川徳次氏は「人員整理をするくらいなら会社を解散したほうがいい」と、社員らに苦しい心中を述べたという。