中間決算で会見する東京電力の広瀬直己社長=31日、東京・内幸町の東電本店【拡大】
東京電力が31日発表した2012年9月中間連結決算は、今年3月で稼働原発がゼロになった影響で代替火力燃料費が積み上がり、経常損益は過去最大の1662億円の赤字(前年同期は1057億円の赤字)だった。料金値上げに伴う追加コスト削減の具体案の策定が始まるほか、来年度を見込む原発の再稼働も遠ざかる。1兆円の公的資金を注入した再生シナリオには疑問符がつき始めている。
「赤字体質からの脱却には相当な努力が必要になる」。広瀬直己社長は同日の会見でこう述べた。
昨年度の上期は、柏崎刈羽原発(新潟県)の4基がまだ稼働していた。だが、今年3月に最後の6号機が定期検査入りしてからは、割高な石油や天然ガスをたき増して対応しており、通期の燃料費は前期から4950億円増加する。
東電は同日、通期の最終赤字見通しを前回予想(1600億円の赤字)から上方修正し450億円の赤字とした。前期の7816億円の赤字からは大きく回復するが、これは、年金制度の見直しや、不動産売却の前倒しなどの計上が要因だ。
下期には9月1日に実施した平均8.46%の家庭向け電気料金値上げも収入を押し上げる。しかし、上げ幅が申請段階の10.28%から圧縮され実施時期も2カ月遅れた結果、約890億円を追加コスト削減で穴埋めしなければならない。広瀬社長は修繕費など「あらゆる所からひねり出す」としたが、明確な道筋は示さなかった。