【ニッポン経済図鑑】象印マホービン「まほうびん記念館」 (2/2ページ)

2012.12.29 05:00

 ■高度な技術力 大阪から世界へ

 2004年には宇宙への進出を果たす。JAXA(宇宙航空研究開発機構)から依頼を受けた象印が、国際宇宙ステーション実験に使うステンレス製の真空断熱容器を作製。打ち上げ時などにかかる40Gという強い衝撃にも耐えられる強度を実現し、技術力の高さを世界に示した。

 13年1月31日までの日程で開催中の特別企画展「日本のまほうびん生誕100年」では、知られざるエピソードを紹介している。1995年の阪神大震災で被災した大阪天満宮(大阪市北区)が新たな鳥居を建立する際、当時の新聞記事や境内の図を納めたタイムカプセルを、象印のステンレス真空調理鍋を利用して作った。

 また、女子マラソンの野口みずき選手が金メダルに輝いたアテネ五輪(2004年)で、象印の給水ボトルを使ったという。

 幅広い世代が訪れ、来館者が「懐かしい」「これ、ウチにあった」と笑顔で会話を交わす光景が珍しくないのは、魔法瓶が日本人の生活に寄り添ってきたからだ。「魔法瓶の優れた保温・保冷力を一度体感すれば、手放せなくなる。そんな魔力がここにはあります」(山口館長)

 現在、業界団体の全国魔法瓶工業組合に加盟する13社のうち11社が大阪に本社を置く。山口館長は「業界のダイナミックな発想とチャレンジ精神は、バイタリティーあふれる大阪人気質があってこそのもの」と力を込めた。(吉原知也)

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【メモ】まほうびん記念館

 大阪市北区天満1の20の5(象印マホービン本社1階)。創業90周年を記念して2008年6月にオープンし、同社が運営している。見学の所要時間は約1時間。事前予約制で、1回当たり約10人まで。入館は無料。開館は平日の午前10時~正午、午後1~4時。土、日、祝日は休館。

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