ソーラーパネルと植物プラントドームを見渡す半谷栄寿さん=福島県南相馬市(半谷さん提供)【拡大】
同市小高区出身の半谷さんは、10年6月まで東電の執行役員を務めていた。在職中は直接的に原発とのかかわりはなかったが、地元が被害を受けたことに心を痛め、震災直後から約2カ月半、故郷へ生活用品など届け続けた。
もともと、退職後に故郷で人材育成などの社会貢献事業を起こそうと考えていた半谷さん。「地元の子供たちを育てるための仕組みがほしい」との地元の声も受け、南相馬市とともに構想を練り上げた。
被災地での新たな試みに賛同し、東芝が1億円を出資。植物工場は同市が建設し、地元の農業法人に無償で貸し出す。職業体験型テーマパーク「キッザニア」の運営会社がノウハウを提供し、発電の仕組みや野菜の収穫などの体験学習も4月に始める。
震災から丸2年の11日、市が主催し地元小学生約30人を招いて、植物工場に初めてレタスの種がまかれる。スタートする事業は「復興の種まき」と名付けられた。半谷さんは津波や原発事故が奪った故郷の豊かな土地での新しい取り組みを、周辺にも広げたい考え。「未曽有の経験を通じ、生きる力、自ら考える力の芽を植え、成長させたい」と意気込む。(是永桂一)