海に浮かぶ浮体式洋上風力発電のイメージ図【拡大】
固定価格買い取り制度など政府の支援も追い風に、東北地方で再生可能エネルギーの開発が加速している。企業や大学が参加する洋上風力発電の実証試験が国の補助を受けて福島県沖で今夏始まるほか、宮城県などでは大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設も相次ぐ。東日本大震災から2年を迎えたが、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、新たなエネルギー産業が生まれる機運が高まっている。
◆地元の雇用拡大
福島県いわき市の沖合約20キロを舞台にした風力発電プロジェクトには、丸紅や三菱重工業、東京大学など11の企業や大学が参加。実証試験では、8月に出力2000キロワットの浮体式発電設備を設置し、9月の稼働開始を計画している。
2014年度に出力7000キロワットの発電設備2基を追加し、15年度までに運営技術などを確立。その後、民間主導で100基規模に達する大規模な洋上風力発電所を運営する構想を描く。
騒音問題を抱える陸上よりも立地の制約が少なく、風力も強い洋上発電への期待は大きい。精密加工が必要な軸受けなど約2万点の部品が必要となることから、関連産業への波及効果もあり、東大の石原孟教授は「地元の雇用拡大につながる」とメリットを強調する。
海に浮かべる浮体式は、海底に土台を作る着床式と違って海外でもあまり例がなく、成功すれば被災地の復興を後押しするだけでなく、海外へのプラント輸出の道も開ける。
陸地では、コスモ石油が同社では最大級となる出力約3万キロワットの風力発電所を福島県会津地方で計画。環境影響評価を経て、今年前半にも着工する。