鴻海との出資交渉が停滞した理由はシャープの株価低迷だ。一時140円台にまで下落しており、市場価格が取得価格を下回った場合、その差額を減損損失として計上を迫られる鴻海は二の足を踏んでいた。
主要取引先であるアップルの「iPhone(アイフォーン)5」の販売不調で、生産調整に入ったことで鴻海側も余裕がなくなったこともあるといわれる。
シャープの新たな出資先として現れた世界最大の総合家電メーカーのサムスンも、鴻海にとって意識せざる得ない存在だ。
「たった3カ月で出資を決めたサムスンは交渉上手。鴻海は1年かけてもまとめることができなかった」。サムスンは追加出資の可能性もあるとされるだけに、鴻海関係者は焦りにも似た危機感をあらわにする。