当時、孫氏の要請に応じて渋々、伊豆七島向け海底ケーブルの容量を増強したNTTは、自らも光サービスを提供。孫氏のパフォーマンスに引きずられて採算の厳しい離島でサービスする羽目になったNTTからは怨嗟(えんさ)の声も聞こえたが、離島のブロードバンド化がビジネスライクでは進まない現実を浮き彫りにした。
家庭とブロードバンド回線を結ぶラストワンマイルを高速無線通信で実現するため、総務省が地方の通信事業者に周波数の一部を割り当ててサービスを始めた地域Wi-MAX(ワイマックス)は、思惑通りに普及していない実態が同省の調査からみてとれる。
大都市圏を中心に整備されてきたブロードバンド環境を地域レベルで推進し情報格差を是正するという当初の目的とは裏腹に、全国の約95%の市区町村には無線局がなく、当初事業計画を達成したのは52社のうち3社だけ。6社は撤退を計画しているという。