クラウドコンピューティングや情報端末を使い、急な宿泊内容の変更などを確認する老舗温泉旅館「陣屋」の従業員=神奈川県秦野市(同館提供)【拡大】
同館は約3年前に米クラウド大手「セールスフォース・ドットコム」のシステムを導入。今では約80人の従業員全員が米アップルの「iPad(アイパッド)」や「iPhone(アイフォーン)」を使いこなし、クラウド上で業務連絡を行う。
接客係が宿泊客に嫌いな食べ物を聞きSNSに書き込むと、調理場のモニター画面に瞬時に情報が伝わり、献立を変更できる。SNSは従業員全員が見るため、発信者が複数の関係者にたびたび連絡する手間も省けた。
こうした業務効率の改善で、年間の人件費はクラウド導入前に比べ約16%減り、逆に売上高は40%増加したという。
1913年創業の瓦製造会社「三州野安」(愛知県高浜市)も2年半前にクラウドを導入。営業マンがタブレット端末を持ち、外出先で受注管理や請求書作成を行えるようになった。今後は主要取引先をクラウド上のネットワークに呼び込み、「ウェブ上で直接売買できる仕組みを作る」(同社)といい、“ペーパーレス化”をさらに進める。