【ビジネスアイコラム】
富士通がディスプレー事業からの撤退を決めたとき、篠田傳氏にはプラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)を手掛けている国内の同業他社だけでなく、誘いかけてきた韓国メーカーに転じる道もあった。だが選択したのは、より困難と思えるベンチャー企業の創業だった。
「他社に行っても、やりたいことをやれそうにない」。理由は明快だ。PDP開発の成功で講演の機会が増え、「あきらめるな」と呼びかけていた本人が、前に進むことを断念するわけにはいかなかったともいう。
調査会社の米ディスプレイサーチによると、2012年の世界のテレビ出荷台数に占める割合は液晶が87.3%に上ったのに対し、プラズマは5.7%にとどまった。技術革新と大量生産で大型化と低価格化を実現した液晶に、もはやプラズマは対抗するすべがないようにみえる。