東電は昨年9月の電気料金値上げの際に前提にした柏崎刈羽原発の4月再稼働を実現できず、火力燃料費のうち料金で回収できない持ち出し分が毎月積み上がる。財務体質の健全化には早期の再稼働が不可欠だ。
再稼働には、7月にまとまる原子力規制委員会の新安全基準を満たすだけでなく、「事故の検証が先」(新潟県の泉田裕彦知事)と、東電への不信感を根強く持つ地元の理解を得る必要がある。
このため、東電は3月末に原子力部門改革の最終報告書をまとめるなど信頼回復の布石を打っていた矢先だった。
また、東電は原発事故の損害賠償や除染費用が想定した5兆円規模から倍増する恐れがあるとして、政府に支援を求めている。国庫負担が膨れ上がることを懸念して動く気配をみせない政府に対し、東電は原発部門を含めた経営改革を着実に進めることで、責任の分担を促したい考えだった。
相次ぐトラブルでこれらのシナリオは根本から揺らいでおり、東電幹部は「タイミングが悪すぎる」と頭を抱える。
東電は今年度、単体の経常損益を黒字化できなければ3期連続の赤字となり、金融機関からの新規融資も難しくなる。今後もトラブルが続き、信用回復が遠のけば、経営再建の道も一段と厳しさを増す。