その結果、ディープフェース化しつつ、重心を低く維持することに成功した。スピン量を10%減らし、打点がぶれても安定して大きな飛距離を得られるようになったという。
構造の抜本的な見直しと並行して、本格的に取り入れたのが音響解析だ。よいショットと打球音には相関関係があるといわれており、ボールをとらえた際、より心地よい音が響くように解析技術を駆使して検討を進めていった。
実際の開発前のシミュレーション段階で試行錯誤を繰り返し、方向性を明確にしたこともあって、試作品開発初期の段階から「理想に近いクラブを実現できた」(山口係長)。試作のクラブを手にした感覚や形状を確認した開発メンバーは、その瞬間、「多分、飛ぶだろう」との認識で一致したという。
13人が練習場で試し打ちした結果、12人が従来モデルによる打球よりも飛距離が伸びたことを確認。所期の目的を達成した。また、試作品の金型をそのまま利用したため、量産体制にも迅速に移行することができた。