【ビジネスアイコラム】
「半年や1年で評価されることだけをやっていては、驚くような発明、発想は出てこない」。こうした思いから大林組の金井誠副社長は、年間120億円程度の技術開発予算の割り振りを年度初めに決める慣習を改め、面白い開発テーマには年度の途中でも費用を充てる例外を設けた。新たなコンクリート技術の開発も、この制度に基づいて費用を捻出し、「非常識」を常識に変えることにつなげた。
やっとの思いで生まれた技術なのに、海水や海砂を使うことに対する周囲の抵抗感は根強い。自らトップセールスに出ると、国土交通省の担当者は「副社長なのに珍しい」と驚いたという。その熱意からは、技術に対する愛情がにじみ出る。
東日本大震災の復興需要に加え、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」の効果も手伝い、土木分野を中心とする建設需要は期待とともに日に日に高まっている。談合や無駄の多い公共工事などで世間に染みついた「負」のイメージを払拭する好機が訪れているともいえる。