JPタワーの商業施設「KITTE」内覧会。吹き抜けには絵はがきを模したモニュメントが吊るされている【拡大】
上場に向けては企業価値を高める必要がある。このため、新規業務による事業のてこ入れが喫緊の課題だが、新規業務の参入のメドはたっていない。日本郵政関係者からは「新しい経営体制になっても上場は難しい」(日本郵政幹部)と嘆きの声も聞かれる。
しかも、政治介入による経営陣の総入れ替えは改めて「政治銘柄」としての経営リスクを市場に印象付けた格好だ。このため識者の中には、「このままでは株式を買ってくれる投資家はいない」(石川和男・東京財団上席研究員)と厳しい意見もある。
企業価値の向上に向け不可欠となる新規業務参入のハードルを西室氏がどのように越えていくのか。郵政民営化委員会委員長として日本郵政の問題点をみてきたが、短期間で民間の経営手法を定着させるとともに、社員の士気を向上させることができるか。その成否が日本郵政グループの改革の行方を占うカギとなりそうだ。