「3年前の上海万博出展を機に、お茶の習慣が根付いている上海の富裕層の間で人気が拡大。売れ筋は2、3万円台ですが、中国にはこれほど上質な鉄瓶はないといわれます」と坂本店長。精巧な模様とシルエットの美しさはもとより、鉄瓶で沸かした湯のまろやかさや鉄分補給という実用・健康面からも見直され、同店の雑貨を含む南部鉄器の5月前半の売り上げは、金額で前年同期比3割増以上のペースで勢いづいている。
「重いし、扱いが悪いとさびるけど、その面倒くささが愛着につながる。使うほどになじんで、日本のモノ作りの素晴らしさが実感できる」とは前出の渡辺さん。東北に脈々と受け継がれた鉄器が、丁寧な暮らし方を現代人に教えてくれるようだ。