「六本木ヒルズクロスポイント」(手前)【拡大】
森ビルは、スマートエネルギー都市の推進に向けて東京都が行う「テナントビルにおけるデマンドレスポンス実証事業」の事業者に選出された。デマンドレスポンスとは、電気の使用量を抑制し電力負荷の標準化を図るため、オフィスビルのテナント側で電力消費を抑制する取り組み。ピーク時の電力需給の逼迫(ひっぱく)を回避するだけではなく、二酸化炭素(CO2)排出削減にもつながるとして注目を集めている。また、デマンドレスポンスが普及していけば、需要側の省エネ意識が高まり、多くの発電設備を持たなくて済むようになるといった効果をもたらす。
オフィスビルや商業ビルではエネルギー使用量の6~8割をテナント側が占めており、ビル全体で省エネ活動に取り組んでいくには、テナントの協力が不可欠となる。実証事業では、両者の連携によって建物の共用部だけでなく、テナントの専有部も対象にした手法を開発。その効果を測定し検証することによって、ビルの所有者とテナント間の円滑な合意形成に向けたノウハウや、節電効果に関するデータの蓄積を図っていく。
森ビルは2011年5月から、テナントのエネルギー使用量を可視化する「エネルギーWEBシステム」を運用。同社が管理・運営するビル約80棟に入居する約1300のテナントが、数値やグラフを通じて省エネ努力の結果を簡単に把握できる。今回の実証事業でも、このシステムを有効活用する。