平成11年の空調機で採用した「先進呼吸パネル」は、大きく吸って、大きく吹き出す新たな気流技術を搭載した。
開発チームの関心も、自然に「気流」をどうコントロールするかに集まった。空調の3要素は温度、湿度、気流。「これまでの他社のエアコンは気流を重要視する機種は少なかった。ここを抑えれば、世界初の商品を世の中に送り出すことができるはず」と、平氏ら開発チームは考えた。
エアコンの風が健康に悪いといった見方が専門家らから指摘されるたびに、「気流を操ることで、何とか快適な風を届けることができないか」(平氏)との思いは強まっていった。
時には、真夏に室内で熱中症になる患者がいると聞き、家庭の室内環境改善に果たすエアコンの機能が、力不足であることも痛感した。
そんなとき、震災後の扇風機の活用を取り上げたニュース映像が開発チームの目に飛び込む。メンバーたちの思いは、エアコンと扇風機を合体させる方法へと傾いていった。