鉄道輸送中にカートンの「擦れ」が頻発、現地で詰め替える事態も少なくなかった【拡大】
キリンは環境保護への取り組みの一環として、400キロ以上の長距離輸送はトラックから鉄道への切り替えを進めていたこともあって、頭の痛い問題だった。
その原因究明と課題解決に取り組んだのは2009年秋。任されたのは生産本部技術部の吉井孝平主任。同社きっての鉄道ファンで「発生メカニズムを徹底解明するため、貨物列車への同乗も行った」と振り返る。
同社の大型ペットボトル飲料工場は、湘南(神奈川)、御殿場(静岡)、松本(長野)、彦根(滋賀)の4カ所。カートンの「擦れ」が特に頻発していたのは、湘南工場が輸送に使う神奈川・平塚から札幌のターミナルまで運ぶ貨物列車だったが、調べた結果、盛岡までは異状がないことが判明した。
そこで、吉井氏は「青函トンネルの前後に原因が潜んでいる」と推測。同乗調査で、本州側の津軽線と北海道側の江差線は単線区間のため分岐ポイントが多く、計50カ所以上で横揺れなどの振動に見舞われることが分かった。五稜郭駅で確かめると、やはり30%以上のカートンに擦れが生じていた。