もちろんLCCにより、西鉄が運行する大阪-福岡の夜行バスの利用者は減少した。だが、大阪と福岡を行き来する人間は着実に増加したようで、福岡空港から別府や阿蘇など九州内の観光地に向かう高速バス利用者は微増となった。
西鉄と南海は、このLCCによって発掘された新たな客層に目を付けた。昨年10月、南海が発行する広報紙「NATTS」に福岡・柳川を、「にしてつニュース」に和歌山・高野山の観光情報を相互掲載した。
これが大ヒット。読者プレゼントの応募はがきが、通常の1・5倍に達した。はがきには「大阪に行ってみたい」と書かれたものも多かったという。南海にも「以前福岡に住んでいたので懐かしく、行きたくなった」などのメールが数十件届いたという。
両社は7月に相互PRの第2弾を実施した。西鉄は新世界を、南海側は天神や博多のグルメに加え、西鉄が運行する屋根なし観光バス「福岡オープントップバス」の情報も掲載した。今後も同様の取り組みを進めるという。
西鉄、南海のようにLCCで生まれた市場を取り込もうという動きは、全国共通で加速している。成田空港では、バス事業者がJR東京駅と結ぶ路線をほぼ倍増させた。西鉄も今年3月、福岡空港と福岡都市圏を結ぶバス路線を新設した。
西鉄の倉富純男社長は「バスのダイヤ改正や増便で工夫し、LCCで拡大した旅行需要を、しっかり取り込みたい」と述べた。