大手商社が将来の人口増を見据えて、成長事業の食糧事業投資に相次いでアクセルを踏んでいる。中でも供給力強化で照準を合わせているのが、米国を抜き世界最大の大豆生産国に躍り出たブラジルだ。
三菱商事は5月にブラジルの集荷大手のセアグロを子会社化、米国の中堅集荷会社も傘下に収めた。三井物産も7月、ブラジル最大手の農業生産会社のSLCアグリコラと組み、合弁会社の設立で合意。傘下に収める農業生産会社のマルチグレインとの相乗効果を狙うほか、ロシアや豪州の集荷会社にも参画し、調達力を高める。
その一方で、各社はもう片方のエンジンとして、中間層が急増する中国やインドネシア、ベトナムなどでの消費の開拓にも余念がない。三菱商事はインドネシアの製粉事業に、住友商事などもアジアの飼料工場や加工事業に参画し、穀物の調達から加工までの一貫体制を築く。
日本市場が縮小傾向の中で成長するアジアを取り込まないと、価格で買い負け、日本向けの穀物の安定調達が危ぶまれるためだ。(上原すみ子)