原料炭と鉄鉱石価格【拡大】
原料価格は2009年までは資源大手との間で行われていた年1回の交渉で決定していたが、10年以降は四半期ごとの交渉となり、市場価格の推移を反映しやすくなった。
鉄鋼大手の幹部は「かつてはコスト上昇分に加え、鉄鋼メーカーの採算改善分を上乗せして交渉していたものだが、最近では原料価格がある程度オープンになり、その情報を(自動車、電機などの)需要家にもしっかり握られるようになった。上昇分を全部転嫁しようものならメーカーさんも黙っていない」と明かす。
鉄鋼各社にとって厳しい交渉ではあったものの、「思った以上に値上げの要求が通り」(同)、11年以来2年ぶりの鋼板価格値上げを実現した。鉄鋼各社の収益は大きく改善するとみられる。
今年度下期(10月~3月)分は新たに交渉が行われることになるが、大和証券の五百旗頭(いおきべ)治郎シニアアナリストは「足元での原料価格は強含んでいる。原料価格が下がれば値下げ交渉となるだろうが、その場合でも値下げは小幅にとどまるのではないか」との見方を示す。