ところがハッカーたちの“魔の手”はもっと危険なところにも忍び寄っていました。米国の善玉ハッカー2人が、車載コンピューターによって電子制御されている最近の乗用車は、ハッキングによって第三者がハンドルやブレーキを簡単に操作できるとの衝撃的な報告書を公表したのです。
7月28日付ロイター通信や同29日付フランス通信(AFP)などによると、2人の善玉ハッカーは、米コンピューターセキュリティーサービス会社「IOアクティブ」の情報セキュリティー担当、クリス・バラセク氏と、簡易ブログ、ツイッターのセキュリティー・エンジニア、チャーリー・ミラー氏です。
2人は米国防総省の技術研究機関、国防高等研究計画局が支援を受け、トヨタ自動車の「プリウス」とフォードのSUV「エスケープ」の車載コンピューターをハッキングした数カ月にわたる実験結果を100ページの報告書にまとめ、公表したのです。
2人は後部座席に座り、普通のノートパソコンを運転席のそばにある車載コンピューターのシステムにケーブルで直結、簡単にハッキングを成功させ、電子制御プログラムを改竄(かいざん)しました。1996年以降、米国車に義務付けられた車載コンピューターのシステムが特に脆弱(ぜいじゃく)だそうです。