「西日本産」に葛藤
一方、子育て世帯の多い住宅地に出店するスーパーの場合、放射能への不安を拭い切れない消費者に配慮せざるを得ない店舗もあるという。
関東に展開する食品スーパーは、比較的所得の高いファミリー層が来店する店舗の一部で、西日本産の生鮮品だけを扱うコーナーを設ける。仕入れも少なく物流コストもかさむため、東日本産より価格は高めだが、売り上げは堅調だ。
「企業としては被災地を応援している」。担当者はあくまで地域限定の措置であることを強調するが「来店客から『安心できる』といわれる。競争する他のスーパーとの差別化につながっているのは事実」と、ジレンマをにじませる。
別の中堅スーパーも、豆腐や牛乳といった常備頻度が高い食料品で、西日本産の原材料を使った商品をそろえるなど、加工食品の各分野で同様の商品を50~60種類展開する。このスーパーは放射能の検査装置を自社保有するほか、検査済みの野菜を仕入れるなど安全性に自信を持っているが「来店客ができる限り西日本産を選べるようにしている」という。