デフレ脱却を目指す安倍晋三政権が企業への賃上げ圧力を強める中、日本最大の中央労働組織である連合が「雇用維持」から「賃上げ」路線にかじを切った。古賀伸明会長は3日、都内で開かれた定期大会で「(来年の)春闘で、ぜひとも月例賃金の引き上げ要求を積極的に検討してほしい」と表明。傘下の各労組に対し、一時金のほかベースアップ(ベア)や諸手当増額など賃金の底上げを要求するよう呼びかけた。
連合はこれまで、「賃金交渉は労使の選管事項」との立場をとり、安倍政権の賃上げ路線とは一定の距離を置いてきた。しかし、来年4月の消費税率引き上げで消費が冷え込む恐れがあるため、政権との共同歩調をとることにしたようだ。
昨年末の衆院で連合が支持してきた民主党が野党に転落、逆に自民政権の政権基盤が一気に盤石になったことに対する危機感もある。
連合はここ数年「デフレの原因は賃金の下落だ」と主張し、賃上げの必要性を説いてきただけに、安倍政権の賃上げ要請は、もともと連合の見解と一致する。