【豆乳のチカラ】（８－４）研究進むイソフラボンの力 (1/2ページ)

　昔から大豆製品を多く食してきた日本人は、欧米人に多い乳がん、前立腺がん、更年期障害などが少ないことが研究者により指摘され、大豆に含まれるイソフラボンに注目が集まった。イソフラボンは、大豆の胚芽に多く含まれている化合物であり、構造式が女性ホルモン（エストロゲン）に非常によく似ていることから、植物性エストロゲンとも呼ばれ、エストロゲンに似た作用を生じることが動物実験や疫学的考察などによって分かってきた。

　イソフラボン摂取が、がんの発生率とどのような関連があるのかを調べるさまざまな観察研究が行われその成果が発表されている。独立行政法人国立がん研究センターがん予防・検診研究センターによる多目的コホート研究（ＪＰＨＣ　Ｓｔｕｄｙ）によると、４０～５９歳の女性約２万人を対象とし１０年間追跡した調査では、イソフラボン摂取の多い群で乳がんになりにくい傾向があり、特に閉経後の女性ではその傾向が顕著に見られた。また、４０～６９歳の男性約４万３０００人を対象とした調査では、限局性前立腺がんリスクは、大豆製品、イソフラボンのそれぞれの摂取量が多いグループで、最も摂取量が少ないグループと比べていずれも半減したという結果が出ている。