飛行機が福岡空港に機首を向けて高度を下げると、ハートの形をした島が見えてくる。玄界灘に浮かぶ相島(あいのしま)だ。島でサツマイモを栽培する三舩謙さん(70)から「一度、畑を見に島に来ませんか? 最近、小屋に電気も通じたから冷えたビールもありますよ」と誘われ、9月最後の土曜日に島を訪ねた。
福岡市の東隣に位置する新宮町の漁港から渡し船に乗る。航海距離7.5キロ、わずか17分の船旅で、島に近づくと海上に大きな岩がそそり立っている。島のシンボル「めがね岩」だ。海食で真ん中に大きな穴が開いており、不思議な姿に目を奪われていると船は島に到着。波止場まで出迎えに来てくれた三舩さんに、朝鮮通信使客館跡、相島積石塚群などの史跡を案内していただき、イモ畑のそばに立つ小屋で冷えたビールを喉に流し込んだ。
三舩さんは6年前からサツマイモ「黄金千貫」を栽培し、酒造会社に芋焼酎「相島」の製造を委託している。「周囲8キロの小さな島だが、かつては1400人も島民がいた。いまや300人ほど。サツマイモ、焼酎で島を甦らせたい」と島興しに意欲を燃やす。ビールが進むうちに三舩さんは「この小屋まで電気が来たから、今後は手付かずだった島の北側も開発可能になる。でも、発送電分離になったら島や過疎地に電気が安定供給されるか心配になるよ」と不安を口にした。