経団連の米倉弘昌会長は11日の会見で、同日の会長・副会長会議で「政党に対する政策評価」の成案が得られなかったことを明らかにした。事務局が作成した素案に異論が相次いだためで「皆さんの意見をとり入れた形でもう一度作り直す」としている。同会議は経団連の総会に次ぐ意思決定機関だが、素案が差し戻しになるのは異例だ。
経団連は2004年に経団連の政策との合致度や実績をA~Eの5段階で評価し、会員企業に政治献金を促す政策評価を開始した。2009年の民主党政権の発足で評価を中止したものの、昨年末の自公政権の誕生で評価の再開を表明。今夏の参院選で与党が大勝し参院でのねじれ現象が解消されたのを見届け、同日の会議で了承を得て評価を公表する予定だった。
素案はA4版1枚で、自民党のデフレ脱却策、経済連携、エネルギーなど5項目について経団連の主張との合致具合を列記し「高く評価できる」と認定。公明党に対しても3行を付記して「評価できる」としていた。
だが、同日の会議では経団連と自民党の政策対比に「説明不足」との見方が続出。文章による評価内容にも「わかりにくい」との指摘があったという。
経団連事務局は11月上旬の次回会議で成案を得たい考えだが米倉会長は「もう政治献金の旗振りはしない」と言明しており、評価は政権与党への信認表明に終わる可能性が強い。