一方、セメントメーカー各社は今月出荷分から1トン当たり約1000円の値上げを打ち出した。セメント価格は地域によって異なるが、東京では2003年から昨年までに2000円弱しか上がっていない。このため、価格引き上げの好機ととらえ需要側との交渉を精力的に進めている。
住友大阪セメントは「交渉には難しさがつきまとうのが常だが、値上げは浸透しつつある」と説明する。太平洋セメントは11年から1000円程度の値上げを求めているが、生コン会社などの需要側との交渉では浸透しきっておらず、未達分について粘り強く交渉を続けている。
セメント協会は、現在の逼迫(ひっぱく)した需給状況から「値上げを要請しやすい環境にある」と解説する。
東北地方や首都圏を中心に懸案となっている建設作業員不足などの問題が解消すれば、資材需要増加に拍車がかかるとみられる。現在の値上げ基調がしばらく続くことになりそうだ。