2007年11月に第18代日商会頭に就任した岡村正氏は就任会見で「個が光るイノベーション」を提唱し、推進のために「現場主義」を標榜(ひょうぼう)した。地域や会社規模で異なる全国の514会議所の意見集約は容易ではないが、徹底した議論を通して意見を集約しなければ難題は解決できないという判断だった。
現場主義は遺憾なく発揮された。消費税率の引き上げでは全国で100回に及ぶ説明会を開き、増税やむなしの結論を導いた。地方の会議所を中心に反対論が根強いTPPへの参加でも70回を超える説明会で支持を求めた。東日本大震災で発生2週間後に被災地に飛び、現地を見たうえで全国の会議所から復旧に必要な遊休機械を集めて被災地に無償提供した。
岡村氏が真価を発揮したのは昨年9月の経済3団体による原発再稼働を求める共同会見。当初は経団連と日商だけの予定の会見に「経済同友会がいなければ意味がない」と主張し、経済界が一丸となって原発再稼働を求めていることを印象づけた。