金融界はいま、みずほ銀行が反社会的勢力(反社)に融資していた問題で大揺れとなっている。金融庁は9月27日、みずほ銀行に対し、暴力団構成員など反社との取引を把握しながら2年以上も放置していたとして、業務改善命令を発動した。立ち入り検査の結果、系列の信販会社オリエントコーポレーション(オリコ)などを通じて実行した提携ローンで少なくとも230件、2億円もの反社向け融資が発覚したもので、一部は不良債権化している。
同行は、7月にみずほコーポレート銀行と合併し、新「みずほ銀行」としてスタートしたばかり。「One MIZUHO」を標榜(ひょうぼう)した直後の不祥事だけに佐藤康博頭取はじめ関係者は断腸の思いだろう。10月28日までに業務改善計画を金融庁に提出しなければならないが、厳しい処分は避けられない。
みずほはすでに第三者委員会を設置して、旧経営陣へのヒアリングを含む徹底した原因究明に着手している。第三者委の委員長は、カネボウ、野村証券、オリンパスの各事件の調査・検証に携わった中込秀樹弁護士(元名古屋高等裁判所長官)が務めており、詳細な事実確認と問題点の所在があぶり出されることになろう。
調査では、いつ、誰が、反社取引を把握し、どういった対応をとったのか、時系列にそった検証が加えられよう。そこから責任のありようもおのずと決まってくる。最大の焦点は「反社取引の存在を知りながら、なぜ、抜本的な対応を先送りしてきたのか」にあることは確かだ。そこが曖昧なために、対外説明が揺れ動き、結果として嘘の説明となってしまう不幸な事態も招いている。この点、筆者はみずほを擁護するつもりはないが、過度な批判には違和感を覚えずにはおれない。銀行員とて人間である。個人としての欲もあれば、サラリーマンとして逃げたい局面もあろう。
「今回の人事でコンプライアンス部長に就きました」。友人の銀行マンにこう告げられたとき、筆者は言葉に窮する。