なぜなら、コンプライアンス部長に就けば、ほぼ銀行員としての最終ポストにほかならないためだ。後に待つのは出向か転籍である。本人もそのことをよく知っている。「コンプライアンス部長になりました」とは、「銀行員時代にはお世話になりました」と等しいニュアンスが含まれている。
コンプライアンス部長時代に今回のような問題が生じた場合、どう対処するか。事案は反社取引という危険な事案だけに呻吟(しんぎん)することは理解できる。
できれば避けたいと思うのが人情、先行きの処遇も頭をよぎることだろう。それを超えるには相当な胆力がいる。
その時に大切なのは組織全体として課題を明確に共有して事案に対処することである。タイムリーディスクロージャーはいうまでもない。残念ながらみずほではトップまで情報が上がりながら、有効な対応がとられなかった。当時はシステム障害に目を奪われ、事案の重要性が十分認識されなかったかもしれないが、不作為の批判は免れない。(ジャーナリスト 森岡英樹)