■「IMV」で1つの車体を共有 「世界販売の半分を新興国で」
昨年9月、日本政府による尖閣諸島(沖縄県石垣市)の国有化に抗議し、中国全土に吹き荒れた反日デモ。暴徒化した一部の中国人による日系スーパーなどでの破壊・略奪行為とともに、放火され、全焼した山東省青島市のトヨタ自動車の販売店の無残な映像は日本人に衝撃を与えた。
◆天津に合弁会社設立
あれから約1年。青島市から約500キロ離れた天津市で今年8月、トヨタが現地自動車メーカーと合弁設立した研究開発会社「一汽トヨタ技術開発」の新拠点着工の式典が行われた。
「今後の中国での事業展開にとって重要な拠点。中国のお客さまのニーズに合った、もっといいクルマづくりを実現する」
中国本部長の大西弘致(ひろぢ)はこう明言した。2年後には設計棟や実験棟が完成、ここが中国向け車両本体の開発拠点となる。
世界の自動車メーカーがどこも成し遂げていない年間販売台数1000万台に挑むトヨタ。成長のカギを握るのは、北米を抜き世界最大市場となった中国を中心とする新興国市場だ。
新興国では、2005年から「IMV」と名付けたプロジェクトが進行している。1つのプラットホーム(車体)を共有し、各地域の嗜好(しこう)や使用環境にあわせ、ピックアップトラックやミニバン、SUV(スポーツ用多目的車)など新興国専用の世界戦略車を作る。
IMVの販売台数は順調に伸長。今後は中間所得層を対象に、100万円前後の小型車を100カ国以上で販売する戦略を描く。
◆“現地現物”を徹底
4月にタイで発売した新型「ヴィオス」。デザインや居住性、装備など“現地現物”を徹底して追求したコンパクトカーだ。生産はタイと中国で、低コスト化を図るため、製品企画本部チーフエンジニアの松田健(たけし)は「“真の現地調達”に取り組んだ」と振り返る。
具体的には部品だけでなく、材料も現地で調達。これは中国で困難を極め、要求する品質に達しない現地企業にはトヨタのエンジニアが工程改善にまで踏み込んで対応した。