ここでの廃炉に試験炉の技術が生かされている。試験炉は運転停止後、昭和61年から平成8年、日本で初めて解体工事を実施。高い放射線量下での遠隔操作技術などを開発してきた。
柳原は「原発は将来的に寿命が来るのは誰でも分かる。だから試験炉を壊すだけでは意味がなかった。どうやって廃炉にするか念頭にやっていた」と語る。
世界ではこれまでに約150原発が運転を終えているが、廃炉まで済ませたのは10基程度しかない。福島の事故後、ドイツ、イタリア、スイスなどが脱原発を決め、世界は「廃炉時代」を迎える。
日本で廃炉が完了したのは東海村の試験炉だけ。昨年、原発の運転期間が原則40年に規定されたことで、1970年代に相次いで設置された原発も解体せざるをえない。福島第1原発でも、来月上旬に4号機燃料貯蔵プールからの燃料取り出しが本格化。廃炉への第一歩を踏み出す。
今年8月、広く国内外から英知を集めるために「国際廃炉研究開発機構」(東京都港区)が発足した。理事長に就任した京都大教授、山名元(はじむ)=(60)=は毎週、東京と京都を行き来する生活を続ける。そしてこう期待を込めた。
「日本がこれから直面する廃炉は、国も民間も大学も統合して取り組むことが必要だ。その技術力は世界に通用する」 =敬称略
◇
日本が原子力発電に初めて成功してから26日で半世紀。福島の事故の悲劇にまみれた日本は、原発とどう向き合っていくのか。原子力の活路を探った。
◇
【用語解説】動力試験炉(JPDR)
軽水炉の国産化に貢献するために日本で初めて設置された発電用原子炉。燃料は濃縮二酸化ウランの沸騰水型(BWR)で、電気出力は1万2500キロワット。総運転時間は約1万7千時間に及ぶ。廃炉を完了した国内唯一の原発でもある。