デジタルカメラ各社が今年度の販売台数を相次いで下方修正している。キヤノンとニコンは初めて一眼レフなどレンズ交換式デジカメの販売が前年度を下回る見通し。カメラ機能を搭載するスマートフォン(高機能携帯電話)に市場を侵食されているうえ、欧州などの景気低迷が販売減に追い打ちをかける。各社は高価格モデルなどに力を入れるが、不振からの脱却には時間がかかる恐れもある。
スマホのカメラ性能が向上する中、デジカメ市場の縮小は各社の想定を上回る勢いで進んでいる。ソニーは10月下旬、8月時点で1250万台としていた今年度の販売台数を1200万台に引き下げた。富士フイルムも、700万台と見込んでいた販売台数を大きく下方修正した。
深刻なのは、低価格のコンパクトカメラに続き、一眼レフなどのレンズ交換式カメラにもブレーキがかかっていることだ。これまでは高画質の写真を撮影したいという消費者らに支持され、拡大が続いていた。
キヤノンは10月下旬、今年のレンズ交換式カメラの販売台数を7月時点の予想の900万台から800万台に引き下げた。下方修正は今年に入って2度目で、昨年の販売台数(820万台)を割り込む見込みだ。
ニコンも今月、昨年度に698万台を売り上げたレンズ交換式カメラの今年度の販売目標について、8月時点の655万台から620万台に下方修正した。
背景には、景気低迷が続く欧州や、成長に陰りが見える中国などで販売が落ち込んでいることがある。キヤノンの田中稔三副社長は「今までは景気が悪くても2ケタ近い伸びだったが、ぜいたく品として消費が後回しされるようになっている」と打ち明ける。
コンパクトカメラの不振をレンズ交換式で補う思惑がはずれ、各社ともてこ入れが急務になっている。