【東京モーターショー2013】目指せ「事故ゼロ」社会 安全技術 世界をリード

2013.11.23 11:43

 自動車メーカーの究極の目標である「事故ゼロ」社会。23日、一般公開が始まった「東京モーターショー」では、この実現に向けた取り組みが多く紹介されている。

 自動車部品大手のデンソーもその1社。同社は、近未来の安全運転を疑似体験できるコーナーを設けた。

 「よそ見すると危ないよ!」。隣に立つ係員に気を取られ、画面から目を離すと、ダッシュボードに座った小型ロボットが注意を促す。画面の大型ディスプレーには、歩道の歩行者や自転車に赤い三角印が付き、飛び出しに警戒するよう呼びかける。物言わぬクルマが突然しゃべり出すので、「事故を起こさないで」と訴えられた気分になる。

 デンソーの加藤宣明社長は「交通事故原因の75%はドライバーの認知、判断、操作ミス。音声や画像で外部の情報を伝え、適切な操作に結びつける技術を開発している」と説明した。

 富士重工業も、世界初公開した新型ワゴン「レヴォーグ」に、高速道路で車線からはみ出さずに運転できる新機能を加えた運転支援システム「アイサイト」の次世代版を初めて搭載。トヨタ自動車も、「ナビゲーションシステムで、落雷などの危険情報をドライバーに事前に知らせる機能を市販車に搭載していく」(友山茂樹常務役員)ことを明かした。

 車体に付けたカメラやセンサーなどからの情報を駆使して、ドライバーへの注意喚起や車の自動制御を行う安全機能は日進月歩の勢いで進化している。国内自動車各社は、一歩先を行く安全技術で世界をリードしようと躍起だ。

 こうした取り組みの集大成ともいえる姿がトヨタ、日産自動車、ホンダが開発にしのぎを削る自動運転車だ。

 すべての起こりうる危険を自動回避する「夢の車」。居眠り、飲酒運転などによる事故の根絶が期待される。運転状態次第では、走る凶器にもなり得た車が、最も安全な乗り物に変貌を遂げる可能性も秘める。さらに身体能力が低下する高齢者も取り込めるなどメリットは多い。

 自動運転車の開発技術の蓄積は、自動車各社の技術力の飛躍的な向上にも役立つ。日本全体のものづくり力の維持に果たす役割も大きい。東京モーターショーに先立つ今月9日、国内の一般道初の自動運転車の走行実験を安倍晋三首相が自ら乗り込んで行ったのは、この期待の表れでもある。

 ただ、各社の首脳の頭を悩ますのは、「運転することの楽しさを競ってきた自動車メーカーにとって、自動運転車は機械任せ。単なる移動手段に成り下がってしまう」(大手自動車)という点だ。

 便利だけれど、自動車の楽しさを奪うことになりかねない自動運転車。ホンダの研究開発を担う本田技術研究所の山本芳春社長は、「本当に社会から望まれるシステムなのか、法規やユーザー意識を含めて勉強しなければいけない」と開発現場での葛藤をにじませる。

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