おせちのネット通販市場が年々増加傾向にある。これまでは「おせち」といえば、百貨店やホテルのものか、付き合いのある店のものを購入する…というケースが多かった。しかし、核家族化が進んだ今、おせちの楽しみ方や購入方法に変化が起きている。その最たる例が、おせちのネット通販市場の拡大だ。
各地の厳選したグルメを取り寄せられる「ぐるなび食市場」でも、おせちが好調だ。中でも注目は、有名レストランのおせちの売り上げが昨年と比べて20%増となっている点だ。ラインアップを見ると全国各地の名だたる老舗料亭やフレンチレストランがズラリ。飲食店にとって、おせちを販売するメリットやネット販売に参入する意図とは何なのか。
和食とフレンチを楽しめる東京・自由が丘の人気店「フランネル嵯峨野亭」は、今年から「ぐるなび食市場」でのネット通販をスタートさせた。18年前から店頭を中心におせちの販売を行っていたという同店。井上憲治シェフは「最初は常連さん向けのサービスでした。一年の感謝と来年もよろしくお願いします、という意味合いが強く、大きく広げるつもりはなかった」が、徐々に口コミで評判が広がり、数年前から百貨店での取り扱いを開始することに。毎年店頭と合わせて150~200セットほどを販売している。
今年、ネット参入を決めた理由については「全国の皆様にお店の名前を知ってもらえることが大きい」と話す。消費者にとっては「作り手の顔が見える」のが一番のメリットだという。実店舗で培った信頼があるからこそ、消費者は安心感を持てる。ネット通販という信頼性が重要な販売方法だからこそ、レストランのおせちに寄せられる期待値は大きいようだ。