■環境負荷軽減技術向上に挑む
新興国などで火力発電施設の需要が高まる中、高効率の石炭ガス化複合発電(IGCC)への期待は大きい。日本メーカーは、さらなる高効率化と環境負荷軽減技術に磨きをかける。
IGCCは、ガスタービンや蒸気タービン、排熱回収ボイラーなど、いくつものユニットで構成されるが、中核は石炭をガスにするガス化炉と、そのガスを電気に変える発電機だ。
日本の発電機に関する技術力は世界最高水準だが、ガス化炉の開発は「欧米より10年遅れている」とされてきた。ガス化炉では、1500度以上の高温で石炭を蒸し焼きにして可燃ガスを取り出す。この燃焼を安定させる技術は「設計段階では完璧だが、炉を造って試すとうまくいかない」(大手国内メーカー)ほど難しいからだ。
直近10年は、欧米企業による開発事例が相次いだ。だが、実際に稼働したガス化炉は、日本の開発陣には「熱効率40%以下のプラントばかりで、効率がよくない」(日立製作所IGCCプロジェクト推進本部の長崎伸男チーフプロジェクトマネージャ)と映った。
日本陣営が自信を深めた理由は、常磐共同火力勿来(なこそ)発電所(福島県いわき市)のIGCCにある。ここでは、高温高圧の炉内に「空気」を吹き込んで石炭のガス化を促進する“空気ぶき”という技術を採用した。
通常は、よりガス化が進みやすい「酸素」を吹き込むが、酸素をつくる際のエネルギーロスが課題だった。勿来では酸素をつくる工程をはぶき、効率化を図った。
一方、電源開発(Jパワー)と中国電力が中心になって広島県大崎上島町で進めているIGCCプロジェクト「大崎クールジェンプロジェクト」は、あえて“酸素ぶき”を採用する。
課題だったエネルギーロスを燃焼効率の向上などでカバーする技術の確立を目指す。また、二酸化炭素(CO2)を回収・貯留する技術開発も進める。プラントは2016年に完成し、実証試験が始まる。