18日の米連邦準備制度理事会(FRB)の量的金融緩和縮小を受け、日銀の追加緩和圧力は弱まる見通しだ。円安と株高が、日銀の目指すデフレ脱却を後押しするからだ。もっとも日銀は今年4月に2年で市場に供給する資金量を倍増させる大規模な緩和策を導入したばかりで、足元の物価上昇率は目標の2%からは遠い。デフレに後戻りするリスクが顕在化すれば、追加緩和観測が強まる可能性もある。
公共投資や個人消費といった内需が牽引(けんいん)する足元の日本経済にとって、懸案は海外経済だ。米国の金融緩和縮小について、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は「新興国を含め世界経済全体にプラスの影響を及ぼす」と期待感を示していた。米国が金融緩和からの出口に踏み出すことは、米国経済の回復を意味するからだ。
米国の金融緩和縮小で円安と株高が進む可能性が高まり、市場では「日銀の追加緩和圧力が後退した」(ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次チーフエコノミスト)との見方が広がる。10月の消費者物価指数は前年同月比で0.9%上昇し、5カ月連続でプラス。デフレ脱却への道のりは順調にみえる。