東芝の田中久雄社長は27日、産経新聞のインタビューに応じ、野菜などを栽培する植物工場の開設を検討していることを明らかにした。照明などの自社技術を融合し、農業ビジネスの事業化につなげる狙い。英国の原発事業会社「ニュージェン」の買収に関しては、来年1月にも最終合意し、現地で原子炉3基を建設する方針を示した。
田中社長は植物工場について「(東芝は)照明や水、空調などの技術を全部持っており、強みを生かしたものができる」と述べた。休眠中の施設の転換などを検討する。
6月に就任した田中社長は、グループの技術や製品を組み合わせて市場を開拓し、事業を拡大する「創造的成長」を掲げる。植物工場のほか、インフルエンザ感染を簡易に検査できる機器なども来年以降の事業化に向け検討を進めている。
一方、ニュージェンの買収については、スペインの電力大手に加え、仏電力大手のGDFスエズからもニュージェン株の一部を買い取り、過半数を獲得する方針。ニュージェンが英中部で予定する原発の建設を受注し、2020年代半ばの稼働を目指す。田中社長は「(事業規模は)原発プラントに送電網などを加えると1兆7千億円以上になる」と強調した。