拙著『ビジネスで活かす電通「鬼十則」仕事に誇りと自分軸を持つ』(朝日新書)後書きで述べたことの中に、前略~“先陣の谷に突き落とす”という表現がある。
何度となく深い谷に突き落とされても必死に這(は)い上がっていく“タフガイ”にのみ、“電通DNA”を引き継がせていくように感じた。そのようなプロセスをたどってきた猛者たちを見て、後輩は必死に駆け上る。ようやく先輩の域に達したかと思ったら、先輩はさらに高い所に駆け上がる。社内を見渡せば、いろいろな「技」をもった先輩がいて「ロールモデル」には事欠かなかった。修羅場のような日々が続き、トイレに行っては今にも泣き出しそうな情けない自分の顔を鏡越しににらみかえす。「負けてたまるか!」と心の中で叫び現場に戻り、罵倒・叱責・怒濤(どとう)の嵐に突入する。
広告会社の生命線ともいえる「扱い」の維持・拡大・奪取だけを目指して全力疾走する毎日。不屈の精神力とそれに支えられた肉体力をもち、「鬼十則」「責任三カ条」を行動規範として、この弱肉強食のサバイバルを生き抜く。筆者はそのような環境でビジネスマンの一歩を踏み出し駆け抜けてきた。叱って育てる典型のようなOJT(職場内教育)によって鍛えられた。