電子書籍は“時間の奪い合い” すでに始まった本の選別 (3/3ページ)

2013.12.31 12:00

 若い世代に広がり

 スマホやタブレットの普及で、電子書籍に触れやすい環境は整いつつある。総合情報サイト「オールアバウト」の電子書籍ガイド、上村充弘さんは「これまで電子書籍の読者は40~50代の男性が中心だったが、スマホの普及によって若い世代が漫画やライトノベルを読むようになった」と話す。

 無料通話アプリ「LINE」を運営するLINEは、今年から関連アプリで漫画や小説の配信を始めた。メッセージのやりとりに使う「スタンプ」を購入特典とするなどのサービスで若い世代に人気だ。

 今年は雑誌の電子化も相次いでおり、講談社の週刊青年漫画誌「モーニング」が5月に電子配信をスタート。一部の連載が配信されない一方、電子版限定の連載があり、通常330円の同誌が月500円で読めるという割安感もあって好調だという。小学館も9月にファッション誌9誌の電子配信を始めた。

 国内では普及が遅れがちとされる電子書籍だが、消費者による電子書店や電子で読む本の選別はすでに始まっている。「これからは可処分時間の奪い合い」(上村さん)となる可能性が大きく、電子ならではの付加価値の追求や販売戦略が市場の行方を左右しそうだ。(戸谷真美)

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