■日本経済再生にしっかり貢献したい
--昨年はどんな年だったか
「前年末に政権交代があり、新年賀詞交歓会では、出席者の明るい表情からずいぶん雰囲気が変わったと感じた。閉塞(へいそく)感が期待感に変わっていた。超円高が解消し、株価も上昇。経営者のマインドも変わった」
--鉄鋼業界はどうか
「円安で原燃料がコストアップしたが、販売数量や価格は回復。高炉の業績は回復したが、電炉にとっては電力料金値上げもあり、非常に厳しい年だった。世界を見ると中国の過剰生産が止まらず、新興国の減速もあり、市況の下押し圧力は弱まっていない」
--生産や需要が好調な現在の国内状況は続くのか
「消費税増税の駆け込みによる反動減で個人消費や住宅投資は落ちるだろうが、設備投資は回復。海外景気が持ち直し輸出も回復する。腰折れは回避され、プラス成長が続くだろう。鉄鋼業界として日本経済再生にしっかり貢献したい。国土強靱(きょうじん)化や高度成長期に建設された社会インフラ更新などの貢献はその一つだ」
--国内はフル操業態勢が続いているのに、高炉メーカーは一部で高炉休止を打ち出している
「生産効率性を上げて対処するのが正解だと思う。鉄鋼業は典型的な装置産業なので、好ましいのは常時フル運転だ。需要が増えた際には、稼働率を上げる対応とそれに加えた生産のプロセス改善が重要だ」
--国内は堅調だが、今後の成長にはやはり海外展開が必要なのか
「ある意味、それは必然だ。日本の鉄鋼業が生きていく道だと考える。今後の鋼材の内需は、今の経済状況なら6000万トン強という状況が続くだろう。ただ、法人税や雇用など産業立地競争力に劣る日本に対し、海外へ出ていった企業が生産を戻したり、海外からの投資があったりするとは考えにくく、大きく上振れるとは期待しない方がいい」